アテナ

ギリシャ神話・ギリシャ神話の神々
アテナ

ギリシャ神話アテナ

ラテン語名: ミネルヴァ 


特技・属性: 知恵・技術・武勇・戦争を司る。

 
 
ゼウスの一番最初の后はメティスと言う”知恵の女神”だった。しかし、父を裏切って王位を得たゼウスは、因果応報を恐れ、この有能な女神メティスが懐妊したと知ると、メティスごと食べてしまう。
 
その結果、不死であるメティスはゼウスの中に生き続け、その有り余る知恵をゼウスにささげた。これゆえにゼウスは全知全能を誇る事が出来たのだ。
 
しかし、その時の胎児はゼウスの中で成長を続け、ついにはゼウスが頭痛に悩まされ、その治療のために斧で頭を割った時に、金色の武装を纏って産まれる。(注釈1
 
その胎児こそが、女神アテナである。
 
アテナは、オリンポス12神の一人で、ギリシャ神話では最も重要な神の内の一人である。また、彼女は永遠に処女の純潔を守り続ける”処女神”でもあり、それゆえに極めて高い能力を持つ。
 
また、アテナはポセイドンと領地をめぐって争い、奪い取った事がある。その地とは、古代ギリシャの中心地である、”アテネ”であり、この地にある”パルテノン神殿”は、アテナを祭る神殿だ。ちなみに”パルテノン”とは、”処女”を意味する言葉。
 
こんな「勇猛果敢な男勝りの処女神」である女神アテナだが、まったく色気の無い女神なのか?と言うと、そうでもないようだ。後に語るであろう”パリスの審判”では、ゼウスの后ヘラや、美の女神アフロディテ等と、美しさを巡って争っている。
 
まあ、その時の勝者はアフロディテではあったが・・・。(これがきっかけで、トロイア戦争が始まる。)
 
アテナは、女としての色気には欠けるが、ボーイッシュで凛とした魅力を持った女神なのだろう。
 
 

注釈1:古代では体の不調は、”悪い血”によってもたらされていると信じられており、その治療のために、患部に傷をつけて悪い血を出すという治療法が一般的だった。このゼウスの”斧で頭を割る”という奇行も、それらの治療の一環だったと思われる。また、当時の人々は頭痛の原因が頭の中に入り込んだ魔物の仕業と信じられており、それを追い出すために、頭蓋骨の切開手術を行った跡が見られるものもある。衛生的に感染症の危険が伴うが、そのために多くの死者を出したとしても、それも悪魔の仕業と言う事で片付けられていたのであろう。

ギリシャ神話12・蜘蛛にされたアラクネ

ギリシャ神話12・蜘蛛にされたアラクネ


 

 

 
むかし、リュディアという地方に、アラクネと言う娘が住んでいました。
 
アラクネは、機織(はたおり)が大好きで、またとても上手だと評判の娘でした。
 
その仕事振りと出来栄えは、とても人間技とは思えないものだったので、「もしかしてアラクネは、技術の神アテナ様から、機織の技術をじきじきに伝授されたのではないか?」と、うわさになるほどでした。
 
しかし、このうわさを耳にしたアラクネは、それに対して激しく怒り、人々にこういいました。
 
「私の技術はアテナ様から教わったわけでは無いわ。それどころか、機織の腕前ではアテナ様なんかには負けないでしょうし・・・。」
  
この恐れを知らぬアラクネの暴言に、人々は「その言葉を撤回して、一刻も早くアテナ様に懺悔なさい。」と諭しましたが、アラクネは「本当のことを言って何が悪いの?」と聞きません。人々は「何事もなければよいが・・・。」と、半ばあきれながらもアラクネを心配していました。
 
しかしある日、とうとうこのアラクネのことがアテナの耳に入ってしまいます。当然、このような人間の思い上がりを女神として見過ごすわけにはいきません。しかし、慈悲深いアテナは、彼女をすぐに罰することはせず、このアラクネの勘違いを悟らせるために人間界に降りていきました。 
 
まず、アテナは自分を老婆の姿に変え、アラクネに「おまえは人間の分際で神々を侮辱する事が許されると思っているのかい?今なら間に合うから早くアテナ様に謝ってきなさい。」と、諭しました。
 
しかしアラクネは、聞く耳を持たず、「今すぐ腕比べをしても良い。早くアテナをつれてくるが良い。」とまで言い出しました。これにはさすがのアテナもあきれ果て、とうとう女神の姿に戻り、アラクネと機織の腕比べをする事になりました。
 
競技はどちらも甲乙付けがたた。アテナから見てもアラクネの技術は非の打ち所が無い素晴らしいものです。しかし、アラクネの織り上げる布には、ゼウスが人間の娘達を誘惑している様子が描かれており、なおも神々を侮辱していたのです。
 
アテナも、さすがにこれには腹を立て、アラクネの布を引き裂き、手に持っていた杼(ひ:機織の道具)で、アラクネの頭を打ちたたきました。
 
この時、やっと自分の犯した罪に気がつき、その恐ろしさに絶望したアラクネは、自殺を図ってしまいます。しかし、これを哀れに思ったアテナは、彼女の命を助け、彼女を蜘蛛に変えることでその罪を許しました。
 
こうして、助けられたアラクネは、今でも空中にぶら下がって、懸命に機織を続けているのです。
 
 
 

冬のある理由その2] []

 

パンドラ

ギリシャ神話・ギリシャ神話の人々
パンドラ 

ギリシャ神話パンドラ
ウォーターハウス<パンドラ>1896

「最初の人間の女」であるパンドラは、人間とプロメテウスへの厳罰のために、ゼウスの命令で工匠・へパイストスが作った。
 
彼女は、おろかな好奇心によって、自らの持参した”パンドラの箱”を開けてしまい、この地上にあらゆる災難を振りまく事になるが、本々がゼウスの陰謀であり、彼女が箱を開ける事は、必然だったのであろう。
 
このパンドラの夫であるエピメテウスは、兄のプロメテウス(先に知るもの)のような卓越した頭脳は無く、その名前の通り(エピメテウスとは”後から知るもの”の意)、おろかな神であり、この度のゼウスの陰謀もパンドラの美しさに惑わされて、まんまとはまる形となった。
 
とは言え、この二人は、中々夫婦円満な家庭を作っていたようであり、二人の間には、ピュラという娘が生まれており、このピュラは、のちにデウカリオンと夫婦になり、ギリシャ人の祖先となる。
 
このパンドラとエピメテウスは、極めておろかで傍迷惑な夫婦であるが、どこか親しみを覚えるのは、彼らが我々の祖先に当たるからなのかもしれない。
 
 

ペルセポネ

ギリシャ神話・ギリシャ神話の神々
ペルセポネ 

プロセルピナ
ロセッティ<プロセルピナ>1874

ラテン語名: プロセルピナ 


特技・属性: 神・冥界の女王。一年の三分の二を地上で、残りを冥界で過ごす。

 
 
このペルセポネはゼウスとデメテルの間に産まれる。”ホメロス”などでは、このペルセポネを、厳しく恐ろしい死の国の女王として歌っているが、一方で、母デメテルに甘えるという、幼なく愛らしい一面も持っている女神である。
 
プライベートでは、アフロディテと仲が良いらしく、ギリシャ神話のなかに、そういった描写のある逸話が度々登場する。 
 
半ば拉致(完全な拉致?)状態で始まった結婚生活だが、「その後、彼女は幸せだったか?」や「ハデスとの間に子は出来たか?」などについては、多く語られておらず、イマイチ不明である。
 
しかし、後にスミュルナの息子の美少年アドニスをアフロディテから奪い、自分の愛人にしていた所をを見ると、ハデスとの結婚生活は、あまりうまく行っていなかったのかもしれない。
 

ギリシャ神話11・冬のある理由その2

ギリシャ神話11・冬のある理由その2


 


  
 

 
 

 
やっとの事で太陽神ヘリオスの住む、最果ての地にたどり着いたデメテルとヘカテー。
 

二人がヘリオスのもとに近づくと、ヘルメスは、二人にゆっくりと話し始めました。  
 
「おぁ、レイアーの娘のデメテルよ、私はあなたがここを訪れるであるうことは、私には解っていましたよ。・・・さて、何から話してよいのやら・・・。」
 
「それでは話しましょう。あなた娘であるペルセポネは、あなたの兄君にも当たる冥界の王ハデスによって連れ去られてしまったのです。これはゼウス大神も黙認の事、いたし方ありますまい・・・。しかし、どうかひどくお嘆きにならないでください。冥界の主は、決して彼女に恥ずかしくないお相手でございます・・・。誉れ高きあなた方のご兄弟であり、また世界の三つ一の王なのですから。」
 
ヘリオスは、こう言うと少し決まりの悪そうな素振りで、逃げるように中空高く飛んでいきました。
 
一方デメテルは、このヘリオスの慰めも心には届かず、ただ呆然となって立ち尽くすばかりです。そして、それは次第に怒りへと形を変えていき、ペルセポネの誘拐にかかわった者、特にゼウスに対して、激しい恨みを持つようになったのです。
 
それからのデメテルは、オリンポスにも上がる事もなく、姿をやつして人間界をさまよい続けたのでした。
 
彼女の負った心の傷は、時が癒す事はありませんでした。逆に、時が経てば経つほど、あの無情な神々に対する怒りが無限にこみ上げてきます。その彼女の思いは頂点に達し、ついには何とかして奴らに思い知らせてやろうと考えるようになりました。
 
そしてついに、彼女は恐ろしい復讐に出たのです。作物の実りを操ることのできるデメテルは、一切の種子の発芽を許しませんでした。そして、このむなしい思いを皆にも知らせるために、地上に寒波を作り出しました。
 
それ以来畑では、農作業の甲斐なく、たくさんの麦が無駄にばら撒かれました。こうして多くの人間が死に行き、オリンポスの神々も、人間からの奉げ物を無くしたのです。
 
この事態の急を察したゼウスは、まず虹の女神イーリスをデメテルの元に送り、説得に努めさせました。しかしまったく甲斐はなく、この後もゼウスの命で様々な神が、あらゆる貢物を持ってデメテルを訪ねますが、彼女はガンともしません。
 
とうとう根負けしたゼウスは、ヘルメスを冥界に送り、ペルセポネを連れ戻す事をデメテルに約束しました。
 
ヘルメスは冥府の王に事の事情を話し、ペルセポネを地上に返すようにハデスにせまりました。始めは渋っていたハデスですが、ゼウスの命令なら仕方ないと、ペルセポネを地上に戻す約束をしたのです。
 
ハデスは、ペルセポネに事を話し、早速用意するように言いました。それを聞いて大喜びするペルセポネにハデスは、「せめてもの冥界の思い出に・・・」と、とても甘そうなザクロの実をペルセポネに与えました。母に遭える嬉しさのためか、ペルセポネにはそのザクロが、ひときわ甘く感じられました。
 
ペルセポネは早速地上への道を上がって行き、ついにデメテルの待つ冥府の入り口へとたどりときました。久方ぶりの再会を果たした二人は、まるで狂わんばかりに抱擁をし、再会を喜び合いました。
 
これによりかたくなな、デメテルの心も溶かされ、畑ではいっせいに麦が芽を出しました。しばらくだきあっていたデメテルですが、急に何と無い心配に、胸騒ぎを覚えました。それで、ペルセポネの顔をしげしげと見つめ、こう言いました。
 
「ペルセポネよ。あなたはもしかして、冥界で何か食べ物を口にしませんでしたか?答えてください。もし冥界で何かを食べてしまったのなら、冥界の掟としてあなたは冥界にふたたび帰らなければなりません。・・・あぁ、ペルセポネよ。さあ、食べてないといっておくれ。」
 
その言葉を聞いたペルセポネの顔からは、さっきまでの笑みは消え、血の気も引いて、まさに冥府の女王の顔のようになっていました。
 
この顔色を見てそれを察し、ふたたびペルセポネを強く抱きしめました。
 
一方、事を無難に済ませようとしたゼウスは、彼らの母であるレイアーをデメテルの許に遣わし、神々の仲間に戻ってくる事を勧めさせ、彼女に望むほどの栄誉を与える事を約束させます。
 
しかし、それでもあまり好い顔をしないデメテルに、ゼウスは、特例としてペルセポネを一年の三分の一を冥界で過ごさなければならないが、のこりは地上で暮らせるように計らいました。
 
さすがにデメテルも諦め、その条件を飲む事にしました。
 
こうして、ペルセポネは、一年の三分の二を母と共に暮らせるようになりました。
 
しかし、ペルセポネのいない残りの月は、寂しさのあまりデメテルの心も凍りつきました。

 
そしてその時期は、草木も生えず、後に””と呼ばれるようになったのです。
 
 
 
 

冬のある理由その1] [蜘蛛にされたアラクネ] 

ハデス

ギリシャ神話・ギリシャ神話の神々
ハデス  

ギリシャ神話物語
フランソワ・ペリエ<Orpheus Before Pluto and Prosperina>1559-60

ラテン語名: ディス
 
特技・属性: 神・冥府の王。姿を消す事が出来る”隠れ兜”を持つ。 

 
(上の絵画Orpheus Before Pluto and Prosperinaは右からペルセポネ、ハデス、オルペウス。)
 
クロノスの子であるハデスは、世界の三分の一を支配する”冥府”の王の王である。神々達の間でのハデスの地位は高いが、地上の者ではないので、オリンポス12神には数えない。
 
ペルセポネを誘拐し、后にした事で有名だが、そのおかげで古代ギリシャではハデスを、生産の神(ギリシャ人独特の逆説的発想)として祀る事もあったという。
 
また、ハデスの眷属には、”カロン”や”ケルベロス”などがいる。
 
ギリシャ文学では彼の名を”ハデス”と多く呼ぶが、現在では彼のもう一つの名で、冥王星の呼び名でもある”プルトー”のほうが一般になっているようだ。
 
まったく関係の無い話だが、惑星を指す”プラネット”はギリシャ語で、”さまようもの”の意がある。
 
 

デメテル

ギリシャ神話・ギリシャ神話の神々
デメテル  

ギリシャ神話物語
レイトン<Return of Persephone>1891

ラテン語名: ケレス
 
特技・属性: 神・豊穣を司る。

 
(上の絵画”Return of Persephone”は左上で、両手を広げているのがデメテル。右下がペルセポネ、奥の男はヘルメス。)
 
クロノスの子で、オリンポス12神の一人として挙げられるこのデメテルは、豊穣の神。つまり、作物に実りをもたらす神であって、彼女の胸先一つで作物の豊・不作を決定できる。その卓越した力ゆえに、他の神々からは一目置かれており、さすがのゼウスも彼女は苦手のようである。
 
オリンポス12神にしては、ギリシャ神話にはあまり登場しない彼女だが、 こと「ペルセポネの誘拐」は有名で、ギリシャ神話の定番となっている。
 
ペルセポネを溺愛する事で知られているが、彼女はポセイドンとの間に女神デスポイナと、 神馬アレイオンを儲けており、イアシオンとの間にもプルトスという神を産んでいる。
 
ちなみにデメテルとは”母なる大地”の意であり、また、ラテン語のケレスは、穀物を表す”シリアル”の語源。

ギリシャ神話10・冬のある理由その1

ギリシャ神話10・冬のある理由その1


 


 


 

 

 


ゼウスの5人の弟妹の中に、デメテルという名の、髪の美しい豊穣の女神がいます。彼女は、ゼウスとの間にペルセポネと呼ばれる、それは愛らしい女神を儲けていました。
 
その愛らしさゆえか、デメテルはペルセポネを異常なまでに溺愛しており、彼女が浮気な神々達の目に付いたら一大事と、半ば隠すようにシチリア島のニンフ達の元に預けていたのでした。
 
しかし、そんな美しい少女のうわさが知られぬわけもなく、母デメテルの心配もよそに神々達に広く知られるようになりました。とは言うものの、母の態度を知る数多の神々は、ペルセポネに手出しするどころではありません。デメテルは常に目を光らせていたのです。
 
しかしそんな折、こともあろうにゼウスの弟である、冥界のハデスが彼女に惚れてしまったのです。
 
ハデスは早速その事を、ペルセポネの父でもあるゼウスに伝えにいき、結婚の承諾を懇願しました。デメテルの態度を知るゼウスは、大変困ってしまいます。デメテルが了承するとは思えなかったからです。しかし、ハデスのたっての頼みを、無下にするわけにもいきません。そこでゼウスは、ペルセポネの誘拐を黙認するという形をとったのです。
 
シチリア島では、辺り一面にクロッカスやヒヤシンスが咲き乱れています。その美しい花々と見紛うかのような少女ペルセポネが、ニンフたちと共に野に出きました。
 
一面を美しい花々でおおわれたこの野に、さらにひときわ目立つ一輪のそれは見事な水仙がありました。ペルセポネは、そのあまりの美しさに心奪われ、早速手を伸ばしてこれを取ろうとしました。
 
するとその時、突然大地は音を立てて二つに裂かれ、ぱっくりと開いたその口から神馬を御して冥界の王は現れ、ガバと少女を掴み挙げると、泣き叫ぶのをよそに黄金の馬車にペルセポネを乗せ、そのまま地の底に潜っていってしまいました。
 
彼女の甲高い叫びを聞きつけたのは、女神ヘカテーと、太陽神ヘリオスだけでした。
 
しかしついに、山々にこだました、彼女の叫びは母デメテルの耳に届きます。血相を変えシチリアに向かうものの、すでにそこには最愛のペルセポネの姿はありません。
 
「なんということなの?」
 
まるで状況のつかめないデメテルは、力なく呟くと狂ったように駆け回って、陸の上、海の上を捜し歩きました。出会ったすべてのものに聞いて回りましたが、何の手がかりもなく、探しにやらせた鳥達にも、一羽として知らせをもたらす者は無かったのです。
 
そうして九日の間デメテルは寝食も忘れ、最愛のペルセポネを探し続け、とうとう十日目の朝に女神ヘカテーと出会い、ヘカテーはこう言いました。
 
「私は姿は見ていないので、はっきりはいえませんが、何者かがあなたの娘をさらって行ったようです。私にはここまでしか解りませんが、その始終は太陽神ヘリオスが承知のはず。今から参ってヘリオスに伺いましょう?」
 
この言葉にデメテルは静かにうなずき、二人は太陽神ヘリオスの元へと向かっていきました。
 
(つづく)

 
 
 

[アキレウスの弱点] [冬のある理由その2
 
 
 

ギリシャ神話9・アキレウスの弱点

ギリシャ神話9・アキレウスの弱点


 


 


 


ペレウスとテティスの間に産まれたアキレウスは、その優秀さは約束されているものの、所詮人間でしかありません。  
 
これには母である女神テティスは大変悩みました。不死である身にとって、老いて死に行く息子の姿を見るのは、なんとも耐え難いことでしょう。彼女は深く悩み、ついにアキレウスを不死の肉体にすることを決意しました。
 
まず、テティスは赤ん坊のアキレウスの体に、神の食べ物で不死の象徴でもある”アンブロシア”を塗りたくり、テティスはアキレウスの足くびを掴んで、アキレウスをかまどの中にいれ、その火であぶりました。これにより、アキレウスの可死の部分を焼き払ったのです。
 
儀式は成功したかと思われたとき、その場にいきなりペレウスが入ってきました。かまどの中で焼かれている我が子を見たペレウスは、気が動転して大声を上げながらアキレウスを取り上げ、テティスに罵声を浴びせました。それに恐れたテティスは、人界を捨て海の底に潜ってしまいました。
 
これにより、儀式は中断されました。そして、テティスがつかんでいたアキレウスの足首の部分には可死が残った状態のままだったのです。
 
妻に逃げられたペレウスは、母を失ったアキレウスをケンタウロスのケイロンの元に連れて行き、その養育を頼みました。アキレウスは、ケイロンのもとですくすく育ち、もはや人とは思えないほどに成長をとげていました。
 
そんなアキレウスの成長をよそに、母テティスには一つの悩みがありました。それは予言者カルカスが述べたアキレウスについての予言でした。それは「後に起こるトロイア遠征には、必ず彼を必要とするであろう。」というものでした。
 
かねてよりテティスは、もしアキレウスがトロイア遠征に参加するようなことがあれば、討死の運命にあることを知っていました。そこで何とかしてこれを防ぎとめようと、彼に女装を施し、少女達の中に隠しておきました。
 
時は流れ、トロイア遠征の折、アガメムノン一行のオデッセウスによってアキレウスは見つけ出され、遠征に参加することになりました。
 
そして、その戦争の最中に、可死の部分である足首に、毒矢を受け死を遂げたのでした。
 
(トロイア遠征の詳細は今後”オデッセイア"の項でおこないます)

 
 
 

[悲劇の女神テティス] [冬のある理由・その1]

ギリシャ神話8・悲劇の女神テティス

ギリシャ神話8・悲劇の女神テティス  


 


 

 

 

ゼウスの兄弟である、海の支配者ポセイドンは、アンピトリテという后をもらいました。  
 
このアンピトリテは”海”ポントスの孫で、ネレイスたちと呼ばれ、総勢50人の姉妹がいました。
 
そんなネレイスたちの中に、”テティス”と呼ばれる女神がいました。テティスはネレイスの中でも、とりわけ美しく、かつてはポセイドンやゼウスまでもが、こぞって求愛をせまっていたのです。
 
しかし、そんな彼女には不幸な運命があったのです。それは「彼女の産む子供は、必ず父より優秀な者になる。」と言う運命でした。
 
このことを知ったゼウスは、その子供に王位を奪われるのを恐れ(自分がそうしたように)彼女から身を引き、ポセイドンにも事情を話し諦めさせたのです。
 
そしてゼウスは、テティスが他の神の子を産んでは困ると、彼女を人間の男に嫁がせることにしたのです。
 
それを聞かされたテティスは怒り悲しみました。ネレイス一の美女と謳われた自分が、まさかあの野蛮で低俗な人間の妻になろうとは、しかも神である彼女は不死の身。老死のある人間とどうして上手くやれようか。
 
しかし彼女の怒りも、絶対神ゼウスの前では無力のものでした。さっそくゼウスはテッサリア地方プティアの王であるペレウスのもとにテティスを送りやったのです。
 
ペレウスの腕に抱かれたテティスはそれから逃れるために様々なものに姿を変えながら抵抗しました。火や獅子や大蛇などに姿を変えるのですが、いっこうにペレウスはその腕を放そうとはしません。ついに根負けしたテティスはペレウスとの結婚を承諾することにしました。
 
やがて彼女は一人の男の子を産みました。その男の子は、人間でありながら大変優れた能力を持ち合わせていました。彼はアキレウスと名づけられました。
 

 

 

[パンドラ] [アキレウスの弱点] 

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